シビックテックプロジェクト・プランニングキャンバス

Code for Ibaraki の柴田です。
この記事は、Civic Tech (シビックテック)をテーマにした、「Civic Tech Advent Calendar 2015」企画の5日目のための原稿です。他の記事は
http://qiita.com/advent-calendar/2015/civictech
の一覧から見れるようになっており、日ごとに記事が増えていく予定になってます。

本日はビジネスモデルキャンバスのアイデアをシビックテックプロジェクトに応用したプランニングキャンバスのご紹介をさせていただきます。

ビジネスモデルキャンバス

皆さんはビジネスモデルキャンバスというものを見たり、使ったりしたことがありますでしょうか?
ビジネスモデルキャンバスは新しいビジネスモデルを考えだし、その機能や要素を検討するためにビジネスを分析するツールの一つとして、ビジネスモデル・ジェネレーションという書籍の中で紹介されているものです。一枚のシートに9つの要素にわけてビジネスモデルを過不足なく記述することが出来るようになっています。特にスタートアップ企業などが新規ビジネスを考案する際によく使われており、リーンスタートアップで言うところのMVP(最小機能のテスト製品)を考える場合の準備としても便利です。チームでビジネスを検討するために使えるパワフルなツールです。

シビックテックプロジェクト・プランニングキャンバス

シビックテックプロジェクト・プランニングキャンバス

シビックテックは地域の課題をテクノロジーを使って皆で解決するというムーブメントですが、見方を変えれば新規ビジネスを創りだすことと同じです。そのため、ビジネスモデルキャンバスを使って新規プロジェクトを分析するのはとても役に立つと思います。アイデアソンで出たアイデアをビジネスモデルキャンバスでさらに具体化していくことができるでしょう。

シビックテックムーブメントにビジネスモデルキャンバスを応用するアイデアを、Open Austinのメンバーが2015年夏のCode Across(全米でシビックハックを行う日)で実践したのが、シビックテックプロジェクト・プランニングキャンバスです。利益を出すということが唯一の目的であるビジネスモデルキャンバスを、シビックテックに役立てるという視点から若干の変更を加えています。

オリジナルはOpen AustinのGitHub上に公開されていますが、英語になっておりますのでCode for Ibarakiとして日本語化しました。今回は Google Drive上に公開テンプレートとして置いてありますので、是非アイデアソンやシビックハックナイトなどでも活用してください。

※ テンプレート利用方法

テンプレートページを開き左上にある”Use this template"ボタンをクリックすることで、ご自分のGoogle Drive上に新規スライドドキュメントとして保存されます。Google Driveへログインしていない場合は、最初にログインを求められます。また、これまでにGoogle Driveをご利用でない方は最初にGoogle Driveアカウント(無料)を作成してください。
また、テンプレートページ左下にある歯車アイコン(Options)をクリックすることで、直接PDF形式もしくはPPTX形式でダウンロードしたりプリントアウトすることも可能です。

プランニングキャンバスの使い方

テンプレートはスライド1に項目の説明、スライド2が参加者記入用となっています。スライド3は主催者が自由に編集して使っていただくことも出来る事例サンプルです。テンプレートではアシュビル市で開発されたSimpliCityというサービスについての事例となっています。アイデアソンなどでは参加者に2枚(サンプルがある場合は3枚)配布して、スライド1を見て項目を確認しつつ、スライド2に記入していただく形になります。その際、その地域独自の事例サンプルスライドがあるとわかりやすいかもしれません。

シビックテックのビジネスモデルとは

シビックテックのビジネスモデルとはプロジェクトが必要な期間、存続するための仕組です。
ビジネスの共通点は「ユーザー」の「持つ課題を解決し、ニーズを満たすのに役立つ」こととなります。シビックテックプロジェクト・プランニングキャンバスは組織活動を過不足なく7つの要素で書き表し、それぞれの関連も見えるようにするツールとなります。
主に左側が課題や提供できる価値(プロダクト)を、右側がいかに実践するかという部分(展開・運用)を検討する形となっています。

プランニングキャンバスで使う7つの要素

課題

課題の説明」とはその課題を一文で言い切った場合にどうなるかというものです。曖昧な課題や大きすぎる課題は解決することが出来ません。具体的な課題設定こそがプロジェクト成功の鍵です。
・解決しようとしている課題は何か?
・解決にあたっての障害は何か?

ユーザー、影響のある人々

ユーザーやプロジェクトに影響がある人々」とはプロジェクトで提供する価値を届ける相手や関係者です。ユーザーのためにプロジェクトは計画されるといえるでしょう。ユーザーが無いプロジェクトは存在しえません。
・誰がこのツール、プロジェクト、アプリを利用するのか?
・ターゲットとなる典型的なユーザーからユーザーペルソナ、ユーザーストーリーを記述する。
・誰にどのような影響をあたえるのか?
・誰が一番喜ぶのか?
・フィードバックはどこから得られるのか?

機能、提供する便益

機能、提供する便益」とは、プロジェクトによりユーザーに提供される価値のことです。ユーザーが満足するかどうかは、どのような価値を届けることが出来るかによります。
・このツール、プロジェクト、アプリはどんな機能を提供するのか?
・プロジェクトが成功するために最も大切な機能や部分は何か?
・ユーザーペルソナ、ストーリーのゴールやニーズにそれぞれの機能がどう役立つのか?
・どのようにして便益を提供するのか?

プロジェクト

プロジェクト」とは、ユーザーと提供するべき機能の両方を検討し、価値を提供するために生み出されるプロダクトとそのゴールをあわせて定めたものです。MVPの骨子となります。
・ユーザーのために何をつくるのか?
・課題の記述とユーザーについていかに記述するか?
・3ヶ月、6ヶ月、1年先のゴールもしくは成功の判断設定はどうするか?

必要な活動

必要な活動」とはプロジェクトが機能するために組織が取り組まなければいけない活動です。プロジェクトの価値をユーザーに届け、効果を実現し、それを継続するために必要なアクションを言います。MVPを作成できなかったり、作成できたとしてもそれを継続的に使ってもらえなければ意味がありません。
・どうやって、ツール、プロジェクト、アプリは実現できるのか?
・プロジェクトの主要機能を実装するためのタスクをリストアップする。
・いかにしてツール、プロジェクト、アプリをユーザーに届けるのか?
・ユーザーをどうやって増やすのか?
・開発のやる気をいかに維持するのか?
・プロダクトをいかに維持していくのか?

 パートナー

パートナー」とは外部に委託できる活動や、外部から得られるサポートのことです。シビックテックプロジェクトは決して自分達だけでは実現できません。いかにパートナーと協働できるかということこそ、通常のビジネスとの大きな違いを生み出す源泉と言えるでしょう。
・プロジェクトを実現するために誰の助けが得られるのか?
・必要なものを手に入れるのに既存の組織はどう役立つか?
・プロジェクトを実現することに興味を持ちそうな他の組織はあるか?

必要となるもの

必要となるもの」とはプロジェクトを実現するために必要となる資源(リソース)のことを言います。主にヒト・モノ・金・ネットワークです。
・主要なアクションをとるために何が必要となるのか?
・課題解決に必要なデータやその分野の専門家が必要か?
・どこからサポートを得ることが出来るか?
・プロジェクト要件を満たすためにもっとも適切なテクノロジーは何かを記述する。

最後に

長いエントリを最後までお読みいただき、ありがとうございました。是非、このプラニングキャンバスを利用して、みなさんのシビックテックプロジェクトを成功に結びつけてください。

Code for Ibarakiでも今後、このキャンバスの使い方ワークショップや実際にキャンバスを利用したアイデアソンやプロジェクトなどを企画していきます。機会があれば、是非ご参加ください。

でも、どんなツールよりも大切なのは皆さんの熱意です。素晴らしいツールも活用されなければ結果を生みません。どんどん活用して、成功事例をシェアしてもらえるとうれしいです。ネットワークこそがシビックテックプロジェクトの一番のキーですから。