オープンデータ・アイディアソン in Tsukuba第二回


10月29日(日)冬が近づいているのにも関わらず季節はずれの台風22号が接近中のつくば市でしたが、オープンデータ・アイディアソン in Tsukuba第二回が開催されました。場所はつくばセンター近くのBiviにある筑波大学サテライトオフィスです。Code for Ibarakiメンバーとして参加して来ましたのでレポートします。

”アイデアソン”とはアイデア+マラソンから作られた言葉で、みんなで特定の課題に対して一定期間集中して考え抜きアイデアを産み出すというものです。つくば市のアイデアソンは全部で3回企画されており、今回は真ん中にあたる二回目となります。時間は10時半から17時半までの昼休みをはさんで6時間。公式サイトはこちらになります。

今回のテーマは「必要なサービスを必要な人に 高齢者福祉編」として第1回アイディアソンで最優秀賞を受賞した「マイサービスポータル~必要なサービスを必要な人に~」のアイディアをデータで見ながら深堀りして、より具体的な政策提案へと繋げていくためのセッションだそうです。

課題について考えましょうと言っても急には難しいのでまずは課題に関して発想をふくらませるために午前中はインプットの時間。まずは筑波大の川島先生からオープンデータを使ったサービス類型8分類の紹介があった後、Code for Yokohama石塚さんから、横浜市でのサービス開発に関しての体験を元にオープンデータを利用した行政サービス革新についてのお話です。

筑波大、川島先生
ショートインプットをされる筑波大、川島先生
Code for Yokohama, 横浜市役所 石塚さん
Code for Yokohama, 横浜市役所 石塚さん

引き続いて、Code for Yokohama、LODI理事の小林さんからリンクドオープンデータ(LOD)の基礎とそれをオープンデータに活用する場合の勘所をご説明頂きました。世の中に多数あるデータに対してコンピューターが理解しやすい構造を与え、複数のデータを組合せて利用できるのがLODの特徴のようです。

LODI理事 小林さん
LODI理事 小林さん
情報を3つの組(トリプル)、主語述語目的語で表す
情報を3つの組(トリプル)、主語述語目的語で表す
横浜市市長林さんに関する情報をグラフで示す
横浜市市長林さんに関する情報をグラフで示す

引き続いて、つくば市介護保険課の宮本さんからつくば市における高齢者福祉に関する状況について説明がありました。高齢化率で言うと国の平均よりも低いつくば市ですが、地域による格差など合併を続け面積的に大きな自治体ならでは課題もかかえているそうです。

つくば市介護保険課、宮本さん
つくば市介護保険課、宮本さん

つくば市は現在、翌年度より始まる第7期の高齢者福祉計画を策定中で、6000人以上からのアンケート調査を元に計画をまとめているそうです。集計結果報告書もアイデアソン会場の机に用意されています。平成27年度から29年度まで対応の第6期計画はこちらにあります。

ランチをはさんでいよいよアイデアソン開催です。川島先生のリードで問題解決技法としてバックキャスティング(あるべき姿と現状のギャップを埋めていく)を活用、課題とアイデアを明確化していきます。

バックキャスティングを説明する川島先生
バックキャスティングを説明する川島先生

まずは各自が付箋に現在思いつく課題を思いつくだけどんどんと出していきます。机上にあるアンケート調査やWebにあるデータなどのファクトベースで

調査しながら課題を明確化するグループ3チーム
調査しながら課題を明確化するグループ3チーム

付箋が出揃ったところで、ホワイトボードに付箋を貼りながら似たものや原因結果となるもの、対になるものなどを分類しながら整理していきます。KJ(川喜田二郎)法っぽいやり方

KJ法で付箋を整理していくチーム2
KJ法で付箋を整理していくチーム2

課題が整理できたところで、各チームともその中でもっとも気になるものは何になるのかを決めます。各自が3枚ずつシールを持って、気になるものに投票するハイライト法です。一番シールの数が多いものについて各チームで取り組むことになります。

KJ法による整理やハイライト法などを行っている間に何気なくかわされる会話が意外と情報量が多いんですよね。かしこまった話ではなく、誰が聞くとではない自然に出てくる会話にこそヒントが隠されていたり、ひらめきが産まれたりします。また、他チームへの見学も発想をふくらませるには有効な方法です。

各チーム、ハイライト法で課題が決定したところで「現状の課題」、ゴールとなる「あるべき姿」さらにはその間にある「ギャップ」を明確にします。そして、さらにそのギャップを埋めるための具体策をアイデアとしてまとめていきます。脳みそに最も血液が流れる時間です。

各チームの課題発表を聞く参加者
各チームの課題発表を聞く参加者
暮らしたい未来は何か、ゴールをさだめます
暮らしたい未来は何か、ゴールをさだめます
資料を見ながら真剣に調査し、考えるチーム1
資料を見ながら真剣に調査し、考えるチーム1
熱が入り立ち上がる参加者
熱が入り立ち上がる参加者

途中、協賛いただいたウエルシア薬局株式会社(地元の人にはかつての寺島薬局のほうがわかりやすいかも)さんから、ドリンク剤の差し入れも!

タウリン3000ミリグラム投入!
タウリン3000ミリグラム投入!

あっという間に時間が過ぎ、タイムアップ。各チームの発表が行われる時間が来ました。今回は3チームに分かれていましたので、5分ずつ、各チームのアイデアを発表します。

チーム3の発表
チーム3の発表
短時間でもきれいにまとまったプレゼン
短時間でもきれいにまとまったプレゼン
プレゼンを聞く参加者
プレゼンを聞く参加者
五十嵐さんは今日も熱く語ります
五十嵐さんは今日も熱く語ります

発表されたアイデアの例、これはグループ1チーム名「飯サロン」のものです。

どのチームも市民にとって、介護保険や生活支援など高齢者福祉サービスの認知度が低いということについては共通だったように感じました。

高齢者福祉サービスのように大きな課題に対してわずか1日のアイデアソンではまとめきるのは難しいですが、今日のことをきっかけに参加者がこの課題について関心を持つようになったり、出来た参加者どおしのつながりから何かが生まれると良い気がします。

イベントを準備した川島先生、筑波大学の皆さん、積極的にご参加いただいたつくば市職員の皆さん、ありがとうございました。

なお、第三回は12月9日に開催される予定ですので、是非みなさんも参加をご検討ください。